福寿会グループ代表 ご挨拶

 我が国では、平均寿命の延びと少子化の進行により世界に類を見ない少子高齢社会が進行しています。
 65歳以上の人口(高齢者人口)は、3000万人を超えており(国民の4人に1人)、2042年の約3900万人でピークを迎え、その後も、75歳以上の人口割合は増加し続けます。
 このような状況の中、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれています。厚生労働省においては、2025年(令和7年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。
 
 岡山市においても例外ではなく、65歳以上人口は、既に17万人を超え高齢化率24%すなわち市民の約4人に1人が高齢者の「超高齢社会」を迎えています。ここ吉備・陵南地域は、岡山と倉敷の中間に位置する立地条件もあり大規模な居住地域(ベットタウン)となっています。吉備中学校区は、人口33300人、高齢化率23.1%、19歳以下構成比20.3%と比較的年齢構成のバランスはとれていますが、村落時代からの住民と高度成長期の住民(団塊の世代)、近年のニューファミリー層のベットタウン化など大きく3層の住民が混在しており、住民同士の繋がりは希薄となっています。そのため、表面化はしていない様々な生活上の問題課題(介護、貧困・孤立・シングル子育てなど)が、多く潜んでいるが、地域の現状や将来には無関心な人が多く、他人事・自分さえ良ければの現代社会の風潮が広がり、社会制度から落ちている困った人を救い上げることが難しくなっています。このように、少子高齢・人口減少、地域社会の脆弱化等、社会構造の変化の中で、人々が様々な生活課題を抱えながらも住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう、地域住民等が支え合い、一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていくことのできる「地域共生社会」を実現する必要があるのです。

 また、その活動を支える担い手不足も深刻で、慢性的な人材不足に苦しんでいる介護・保育業界、団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、各事業所の人手不足がさらに深刻化するといわれています。既に減少に転じている生産年齢人口は、2025年以降さらに減少が加速するなど、2040年に向けて担い手の減少が課題となる中、中長期的には、より人手不足の問題が深刻化することが予想されています。
 このような現状を背景に、地域に必要とされる医療・福祉の拠点として、経営の安定化が不可欠であることから、医療法人・社会福祉法人・営利法人それぞれ複数の法人が事業の一部を協同化することにより、事業の効率性を高めるとともに、サービスの質の向上に繋げるための更なる連携の促進方策を検討してきました。
 その結果、このたびの福寿会グループ化により、少ない人手で効率的に医療・介護・福祉サービスが提供できるよう、AIの実装、IOT,センサーの活用を図るための設備投資や日本国内の生産年齢人口の減少を補てんすることを目的とした外国人労働者の活用、人材採用コストの削減、ケアの業務分担を見直し、効率的な配置、ケア品質の向上、運営マネジメントの改革などを推進していくことが、存続発展のために必要不可欠であるとの結論に至りました。
 
 今後益々、人材難や財政難、求められる地域貢献など待ったなしの厳しい状況は続きますが、今回のグループ化により、そのための人材や資源(人・物・金)を有効に活用することで、医療・福祉拠点として地域に必要とされる福寿会グループとしての経営基盤強化を図ります。
 これから歩み始める福寿会グループでは、これら地域課題に正面から向き合い当事者意識を持って問題解決に当たり、福祉的援助を必要とする方々が地域から疎外されることなく、「誰もが住み慣れたこの吉備・陵南地域で安心して笑顔で暮らせる福祉のまちづくり」を目標に、事業整備を着実に進めていきます。

福寿会グループ 会長
長瀬 康生

福寿会 理事長 ご挨拶

 社会福祉法人 福寿会を平成7年に設立をし、吉備・陵南地域の福祉の担い手として皆様とともに歩んでまいりました。
 設立当初、この吉備・陵南地域は岡山と倉敷の中間に位置する立地条件もあり、大規模居住地域として比較的年齢構成のバランスが取れた地域でした。しかし、急速な高齢化社会の進展や、要介護者の増加、家族機能の脆弱化など様々な要因により、吉備・陵南地域における高齢者介護の問題も深刻化しつつあります。
 このような社会・地域構造の変化の中で、福寿会に求められる福祉のニーズに応え続けていかなければならないと考えています。
 その一環とし、令和元年に地域生活に関わる人や組織が分野を超えて連携し、介護・住まい・子育て・交流などを一体的に提供することを目指して、「福寿会グループ」が誕生しました。

 今後益々、福祉問題や地域における様々な課題の解決に猶予ない状況が続きますが、「安心して笑顔で暮らせる福祉のまちづくり」を目標に、邁進してまいります。

社会福祉法人福寿会 理事長
平井 篤志